【書評】絵画の背景をもっと知りたい人にすすめたい、「名画は嘘をつく」の感想




美術館を巡るとき、絵画に対して背景知識があったらどんなに楽しいか。

しかし一から美術史を学ぶのはハードルが高すぎる…そう思ったことがある人は少なくないと思います。

そんな中、この木村泰司さんの著書「名画は嘘をつく」は誰もが知っているような名画に隠された「嘘」を見開きの2ページで紹介していくという、非常に読みやすいのに知識も凝縮されている本です。

今回はこの本についてレビューしたいと思います。

名画にはどんな「嘘」が秘められているのか?

嘘といっても、絵にどんな嘘があるのか、あまりイメージできない人も多いのではないでしょうか。

目次を一部抜粋すると、

  • タイトルの嘘 ~主題に囚われない巨匠たちの世界観
  • モデルの嘘 ~偽りの姿が伝わるモデルたち
  • 景観の嘘 ~画家だけに見える景色がある
  • 画家の嘘 ~巨匠にまつわる逸話は本当なのか

など、さまざまなジャンルの嘘が並んでいます。

そして取り上げられている嘘の例をいくつかあげると、

  • 夜ではなく昼を描いていた-《夜警》レンブラント
  • 巨匠は「女神」を描いたわけではない-《民衆を導く自由の女神》ドラクロワ
  • 叫んでいるのはなく、叫びから身を守っている-《叫び》ムンク
  • 同じ色なのに色が違うのはなぜ?-《アルルの寝室》ゴッホ
  • 美化しすぎた戴冠式のプロパガンダ的な演出-《皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式》

このように誰もが知っているような名画の常識だと思っていたことが覆されたり、知らなかったエピソードを知ることができたりします。

そもそもなぜ「嘘」が含まれているのか?

絵画には、もともとメッセージを「伝える」といった目的がありました。

しかしそれは画家自身の個人的な考えを伝えるといった類のものではなく、歴史的、社会的要素を含んだものを伝える、ということでした。

これが伝統的な絵画が持っていた役割です。

すなわち、本来絵画とは「見る」、「感じる」だけではなく、「読む」ものだったのです。

むしろ読む比重の方が大きかったといっても過言ではありません。

しかしながら、時代が移り変わるにつれて絵画に制作者の内面世界を投影することが当たり前になってきて、絵を感性のみで解釈するようになってきました。

その結果個人の感性で勝手な解釈が加えられ、「嘘」が出来上がってしまったということです。

たとえば、まず18世紀以前には画家がタイトルをつけることはありませんでした。

古典的な絵にはそもそもタイトルがなかったのです。

それが時間の移り変わりとともに、説明文に記載されていた文言がタイトルになったり、画商が販売しやすいようなタイトルにしたり、と「嘘」が台頭してきたのです。

「嘘」を知ることでどんな良いことがあるのか?

まず第一に言えるのは、絵を観ることが、「楽しく」なります。

そしてその絵画のバックグラウンドについてもっと知りたくなり、結果として知識や行動の幅が広がります。

たとえば、宗教画の場合、聖書のこのシーンを描いている、といったような記述があったとき、実際にそのシーンを読んでみたくなります。

あるいは、この絵はこの場所を描いている、というように書いてあったとき、その場所に行きたくなったりします。

このように見開き1ページほどでおさまる記述であっても、好奇心はかなりそそられて、実際に絵画を観に行きたくなったり、すでに見たことがあるものの知識がアップデートされたりし、楽しくなります。

「名画は嘘をつく」まとめ

今回は「名画は嘘をつく」シリーズを紹介しました。フルカラーで読みやすく、さっと読めます。

もしヨーロッパかアメリカの美術館に行く予定があるならば、読んでおいて損はないと思います。

初心者から上級者まで、一味違う絵画鑑賞ができるようになるのではないでしょうか。

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